第4笛 そして伝説へ

どうも、泣かした女はまつ毛の数、泣かされた女は鳥取砂丘の砂の数
恋の伝道師こと、MR.三島です。
と、いうわけで、
今回は過去の回想にふける第1弾で行きたいと思います。
記憶はあいまいな部分も多々ありますが…。

あれはそう、MRがもう主将を名乗っていたので、高校2年生の夏だったかと思います。
新チーム体制が始まり、夏休み中の部活の話です。

朝目覚めて、MRは体調に少しいやな不安を感じました。
しかしそんなことくらいで練習を休むわけにもいきません。
いつも通り家を出ます。
体育館に着き練習が始まり、準備体操をし、アップが始まります。
…まだ大丈夫です。(若干の風邪の初期症状)

アップを終えると、自ら先生に指示をききに行かなければなりません。
その日に限っては完全に自殺行為です。
なぜなら、排球部関係者はご存知の通りでしょう。先生の前で手を抜こうものなら…です。
「生きて帰れるのか俺は?」
もう一人の自分の声に耳をふさぎ、主将の仕事をまっとうします。
そうすればもちろん…
鬼、登場です。(ここではあえて鬼と呼ばせていただきます)
それによる病人への効用として、
より声をはりあげ、必要以上に運動量が増えます。
MRは激しく練習を始めました。とりついていた病魔も一緒に激しく活動を始めました。
そして発病へ。

まあたかだか頭痛、発熱、関節痛、真夏の体育館にも関わらず悪寒がする程度です。
あと少しの辛抱だ。頑張れ、俺。そう言い聞かせ、黙々と頑張りました。
その時です!
突然身体の自由がきかず、目の前の景色が体育館の床にかわりました。
倒れたのか?いや違います。鬼、来襲です。
髪の毛を引っ張られ、引きずられ、コートから放り投げられるMR。
そうです、黙々と、が裏目にでたのです。
「他の部員やったらともかく、キャプテンが声出さんとなにしとんねん!」
ブチ切れられました。いや、黙々と、は冗談で、出してたはずなんですけど、
規定の音量に満たなかったのでしょう。
「勝手にやっとけ!」
怒ってその日一緒に面倒見ていた隣の女バレの練習の方に行ってしまわれました。

これで解放された、というわけにはいきません。
当然、次の練習の指示を聞かなければなりません。
やってもうたどうしようとかいうより、MRの精神はトランス状態で、
引っ張られた痛みや、鬼への恐怖、その他の感覚はすでに麻痺していました。
ゆえに恐れることなく鬼のもとへ向かい、
「先生、次の練習お願いします!」
「知るか、勝手にしろや」(大声とかでなく、静かに怒る一番恐ろしいパターン)
「お願いします!」(しんどさのため無表情)
「知らん言うてるやろ」(普段なら耐えがたい恐怖)
「お願いします!」(しんどさのため何も感じない)
そんなやりとりが5往復くらいでしょうか。
ようやく鬼も折れてその他の説教が始まり、結局見てくれる事になりました。
我ながらよくやっていたねそんな事…。

そして練習再開。
精神力で肉体を凌駕し、耐え抜けるはず、だったんですが、
ついにやってきた人権無視のレシーブ練習
「スリーメンッ!」と自分で号令をかけた瞬間、
「命は大事にするんや」ともう一人の自分が連呼しました。
コートに入り、気が付くとそのまま鬼のもとへむかい、
「熱はかってもいいですか?」
そうして我慢大会はおわりを告げました。

横にはけて、計ってみると体温計は8度3分を表示しました。
「動いてすぐ計ったからもう1回はかってみろ」
しばらくしてから計ってみると体温計は8度3分を表示しました。
その時から鬼は仏へと変身し、
「どうする?帰るか?」
「いえ、見学しときます。」
生きて帰れるのだからそれぐらいは頑張ろうと思い、
その日の練習を終えました。

後日、女バレの方から伝わってきた話で、その日の女バレの練習後の説教で、
「男子の松井は、熱が8度もあったのに黙って練習しとったんや。
お前らにはその根性が足りへん」と軽くネタに使われていたそうで、
前日の不摂生のせいで体調をくずしていたMRは、
そんな美談にされるのも申し訳ない気がしたんですが、
それで株があがるなら頑張った甲斐があったなと
ヒーロー気分を味わいました。
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